或る日曜の夕方

妻と近所(それほど近くでもない)のカフェに珈琲を飲みに行った。

車で15分ほどのところだが、県境を越えて隣の県にある。娘の友達のご両親が二人でやっている店である。20人も入れば満員になるようなこぢんま りとした店だが、明るい店内、落ち着いた雰囲気、おいしい珈琲、近くにあれば入り浸りになりそうな店である。開店してまだ半年あまりだが、固定客もかなり 付いてきたようで、4割くらい埋まっていた。

中は華やかな柄のトールペインティングの置物がさりげなく置いてあるが、実はこれ、数百万円もするらしい。開店祝いに奥さんが習っているトールペ インティングの先生が貸し出してくれたもの。この先生は、かなり有名な人らしく、空いている時間がほとんどないのだが、妻もこの奥さんのつてで、最近この 先生について、トールペインティングを始めたというつながりもある。

家にいると子ども達がにぎやかで落ち着いて話ができないが、ここでは久しぶりに妻と二人きりでのんびりと話ができた。実は今日は、妻と初めて会った日。もう20年近くになる。出会った当初のことを思い出しつつ、40分ほどとりとめもなく会話を交わした。

珈琲を飲んでいたら、マスターが挨拶に来た。開店直後に来たきり、ごぶさたしていたので逆にこちらが恐縮してしまった。月に一回くらいは妻と立ち寄りたいと思う。