FI・Fタームによる特許調査

リンク: 雑記帳~知財検定対策ノート~ | 特許庁の技術動向調査.

私は、このIPCやFIターム、全然理解できないんですよね、悲しいことに。
おまけに、改定や追加がいっぱいあるみたいで、ほんとにわかりません。
これが理解できると、注目した技術特許の特許庁による解釈(どの分野の技術にしているかや、その技術に対する位置づけ評価)がわかるかな、と思うんですが。

日本の特許を調査するときに、必要な情報を短時間で入手するという観点で言えば、最も使い勝手のよい検索は、FIとFタームだと思います。出願を受け付けたときに特許庁の関係団体の(財)工業所有権協力センターで、特許分類(IPC、FI)とFタームが付与されます。IPCはいったん付与されたら不変ですが(今度IPC8版になりますが、新しく付け直すことはないと思う)、FIとFタームは適宜更新されます。

特許庁のIPDL検索において、「公報テキスト検索」でFIで検索できますが、ここで検索されるデータは公開時のままで、公開公報に書かれている以上の情報はありません。しかしながら、「FI・Fターム検索」では、登録されているFI・Fタームの情報は、適宜新しいデータに更新されています。常に付与の作業が進められていますので、テーマによっては、昭和の時代の公報にも遡ってFIやFタームが付与されているものがあります。したがって、FI・Fターム検索を有効に活用すれば広い時期にわたって的確な検索を行なうことができると言えます。

なお、FIもFタームも特許庁における審査が基準になっています。FIはIPCのかなり古い版が基本になっているので、一件類似していますが、現在のIPCと異なっている場合もあります。IPCでは分類が大まかすぎたのを、審査官が自分たちの審査に役立てるためにさらに細かく分類したのがFIの起源ですので、IPCに比べると実際の技術を的確に捉えていると言えます。また、FタームはFIをもとに各テーマ毎に具体的な構造や目的、機能などを絞って検索できるように配慮されていますので、構造や機能といった通常のキーワード検索では捉えきれず、捉えたとしてもノイズ(不要な情報)が多くて使いづらい部分を補完することができます。

なお、FI,Fタームは付与されていない公報もありますので、漏れの少ない検索をしたい場合には向きません。ピンポイントで狙った公報を発見する、例えば、無効資料を探すとき等に極めて効果的です。

例えば、「レーザ加工において反射光で制御する制御手段」に関するFタームはテーマコード(レーザ加工)が4E068、レーザ加工の制御手段に関する観点がCB、制御手段のうち反射光によるものが09となりますので、Fタームはこれらをつなぎ合わせた4E068CB09ということになります。試しに期間を限定せずにFI・Fターム検索でこのFタームを調べると、928件ヒットしました(うち昭和公報287件)。

私が無効資料を調査する手法を簡単に紹介しましょう。まず対象特許にどのようなFタームが割り振られているか、特許庁のIPDLの経過情報-番号照会により調査します。次に、ピックアップしたFタームのテーマコードからFターム解説・Fタームリストを見て、無効性を調査したい箇所に絞り込みます。その後は、FI・Fターム検索を行ない、対象特許よりも古い公開日を有する公報を調査すればよいということになります。

なお、FI・Fタームのかなり詳細なマニュアルが、平成15年の特許庁主催の実務者向け教育資料にありましたが、現在は削除されてしまったようで見当たりません。そこで、Wayback Machineというサイトで昔のサイト情報を探したところ、みつかりました。以下にリンクしておきます。
IPDL IPC/FI・Fターム検索編

なお、この特許調査の分野のスペシャリストとしては、弁理士の鈴木利之氏が有名です。私もこの方が講師をされている研修を受けたことがあります。非常に参考になりました。

以上、記憶に基づいて書きましたので、思いこみや誤りがあるかと思います。その際はぜひともご指摘下さい。